変貌するラスベガス

ラスベガスは私の住むカリフォルニア州の東隣、ネバダ州にある都市です。これまでラスベガスと言えば、ギャンブルとショウとコンベンションの街というイメージが定着しています。しかし、ラスベガスはここ数年、大きくその街の姿を変えてきました。  ラスベガス大通り(Las Vegas Boulevard)沿いに次々と姿を現す部屋数3,000〜5,000という巨大ホテル、また、ダウンタウン・ラスベガスの再活性化など、巨大化、豪華絢爛化という側面 も変貌の大きな要因には違いありませんが、それだけではありません。これまで前面 に出ていた大人達だけの“ギャンブル”の街から確実に家族で楽しむファミリー・リゾート、エンターテインメントの街に変っています。

 ラスベガスの変化はアメリカ(と世界)の変化の結果であり、ラスベガスも戦後のベビーブーマー(日本でいう団塊の世代)時代から更に“ジェネレーション Y”までの多様化した価値観を視野に入れたビジネスの時代に入ったということでしょうか。

 最近のラスベガス観光案内冊子に掲載されているラスベガス観光局長の挨拶文には次のように記されています。
「(前略)ラスベガスは世界でも唯一豪華で壮観なリゾート・ホテルのあるところです。エンターテインメントやショッピング、アトラクションやテーマパークは他に比べるところがないほど、皆様を楽しませてくれます。豊富なナイトライフやアウトドアのリクリエーション、イベントと観光、どれをとっても忘れられない思いでになることでしょう。(以下略)」

 この挨拶文には、もはや“ギャンブル”という文字も“カジノ”という文字も出てきません。 そう言えば、最近ここでは原則として“ギャンブル”という表現はせず、これを“ゲーム”と呼ぶことになっていると聞きました。  とは言うものの、現地へ行けばわかりますが、“カジノ”、“ギャンブル”がなくなった訳では勿論なく、射幸心をくすぐる“ゲーム”はどこへ行ってもますます盛んに、そしてますます豪華に私達を招いています。  ただ、言えることは、賭け事だけの“ギャンブル・カジノ”から、楽しむ“ゲーム・カジノ”への変化と言えるのではないでしょうか。

 最も新しく、この8月にアラビアの千夜一夜物語をテーマにして改築・オープンした“アラジン・リゾート & カジノ”は、この“新しいラスベガスの顔”の具現と言えましょう。総工費 14億ドルという巨費を投じ、35エーカーの広大な敷地上に市内最大規模のショッピングモール、客室 2,500室余りのホテル、10万スクエアー・フィートのカジノ場、レストラン、劇場、屋外プールなどがけんを競っています。カジノ場よりはるかに広い50万スクエアー・フィートのショッピングモール内を歩けば、そこはまさにアラビアと錯覚する世界であり、不思議な気持にさせてくれます。ラスベガスがギャンブルの街からエンターテインメントの街に変化した事が良く実感できます。  ビジネス・コンベンションの街としてのラスベガスは従来のまゝ変っていませんが、観光地としてのラスベガスは一変したと言っても過言ではないでしょう。  ラスベガスの変化はアメリカの消費文化の変化であり、大げさに言えば世界の変化なのではないでしょうか。消費文化に敏感なラスベガスの変貌は私達の未来について貴重な示唆をしていると思います。
 クラーク郡(ラスベガスがある郡)全体では100 万人を超える人口を有し、全米でもトップクラスの人口増加率のラスベガスは良くも悪しくもアメリカ経済の鏡であり、けん引役であると言えそうで、この街の動向は注目に値しそうです。  話は変りますが、世界的な原油の高騰でガソリン価格が当地ロサンゼルスでも昨年同期に比較して20〜30% 値上げされ、車社会に住む私達にとって、今や生活費に占めるガソリン代は決して無視できなくなっています。  経営コンサルタント会社、ランツハイマー・インターナショナル社が今年9月現在の世界75都市のガソリン価格比較を発表しています。(U.S. Japan Business News、Oct.16, '00号)これによると、ガソリン価格が高価な都市は、香港($5.38 / ガロン)を筆頭にロンドン($5.05)、オスロ($4.54)、ソウル($4.52)、パリ($4.28) と続き、東京も $4.16 と“堂々第9位”の高価格です。それに比べればアメリカは平均で $1.52 /ガロンであり、他国との比較においては決して高い方ではないので、不満を言ってはいけないのかもしれませんが・・。

 私の住んでいるロサンゼルス市郊外(ガーディナ市)からラスベガスまで約300マイル(500 km)、フリーウエイを車で約4〜5時間の距離です。数年前までは、ラスベガスへ車で遊びに行くと、往復のガソリン代は、せいぜいU.S.$30 でした。先週、妻と行ってきましたが、約$45 かかりました。 (尤も、ラスベガスでは毎回ガソリン代の差額以上に浪費をしているので、ガソリン高騰の話の例として引き合いに出しても説得力に欠きそうですネ)                          

河合将介

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